ママはどうして工場で仕事始めたの?
2003年9月13日夜10時をまわっても旦那が帰ってこない!
そろそろ出ないと、遅刻だ!旦那の携帯に電話してみる。
「ちょっと、いまどこにいるのよ!」
「いま、○×駅だから。」
「わたし、もう出ないといけないんだけど!」
「もうちょっとで家につくから・・坊主にそう言っておいて」
まったく・・・あぁぁぁー、もう家を出ないといけない!だいたい
なんでよりによって、こんな日に坊主は寝てくれなかったのだ!
「坊主、ママもう工場に行かなきゃダメなの。もうすぐパパ帰ってくるから
少しの間、一人で留守番しててな!」
「何時にパパ帰ってくるの?」
「10時半には家に帰ってくると思うから」
「うん・・・ママ行ってらっしゃい」
後ろ髪ひかれる思いで、私は家を出た。
たのむから、旦那よ早く家に戻っておくれよぉー!
どうにも気になり、あと半分ぐらいで工場に着くあたりから携帯から
家に電話する。坊主が心細い声で電話に出る。
「パパはまだか?」
「うん。まだ・・ボクな、かたつむり見てたの」
「あんた、なんでママと一緒に寝なかったのよ」
「だって・・・遊びたかったんだもん」
「ママ、もうちょっとで工場に着くよ」
「ママー、ボク座って電話でしゃべりたいよ」
「それやったら、一旦切ってもう一度掛け直すから、子機で出て」
「コキ?」
「切って、もう一度電話するから子機でとってピカピカ光るボタン押すの」
「ピカピカ光るボタン?」
「そうそう。わかった?じゃー切るよ」
一旦切って、工場の敷地内に入ったところで掛け直すが、なんと話し中である!
なんど掛けても話し中・・坊主〜!何してるのよぉ〜!!
工場の玄関に入ったところで、旦那の携帯に電話する。
「いまどこなのよ!」
「えっと・・□▽駅・・」
「わたし、もう工場に着いてるのよ!」
「もう家に着くから・・」
「坊主まってるからね!たのむよ!!」
髪の毛をくくってクリップで留めて、ヘアバンドをしてキャップをかぶる。
服にローラーをかけながら、家に電話。
「ママぁ・・・ぐすん、ぐすん」
「坊主〜!!何してたのよぉ〜!!」
「ぐすん、ぐすん・・コキわからないよぉ!うわーん!」
坊主おお泣き・・・どうも、子機が何なのか、どうしていいのか
わからなかったらしい・・・。坊主も頭が混乱している様子だ。
「泣くな!あんたが泣いたらママが泣きそうになる!」
「ママぁー・・うわーーーん!!」
「泣くな泣くなぁー・・パパが家に帰ってくるまで、ずっと電話で話してあげるから」
階段を上りながら、必死で坊主を励ましにかかる。タイムカードを押し
そのままロッカー室へ・・・時計を見ると10時半をまわっている。
「パパ何時に帰ってくるの?」
「さっき電話したら、今□▽駅だって。今、時計の長い針はどこ指してる?」
「えっと・・8のところ・・」
フッと見ると、アマミさんがすでに着替えて鏡の前でチェックしていた。
「アマミさん」
私は、アマミさんのところに飛んでいく
「旦那がまだ帰宅してなくて・・私が11時を過ぎても中にいけなかったら
リーダーに、もうすぐ来ますと言ってもらえますか?」
携帯を指差しながら言うと、事情を察してくれた。
「うん、わかったわかった」
旦那〜・・・たのむから時間厳守で飲みに行ってくれよな・・
「坊主、パパは長い針が10のところにくるまでには家に帰るからな」
「ママぁー・・ぐすんぐすん・・ママはどうして工場で仕事始めたの?」
ガガーーーーーン!そう聞いてきたか!!私は思わず言葉につまってしまった。
「うん・・それは、また家に帰ってからちゃんと話すね!」
「うん・・」
「泣くなよ!絶対泣くな!わかった?」
「はい。」
ロッカーに来る人が不審な目で私を見てくるが、私はとにかく坊主
の不安な気持ちを沈めるために必死である。
「いま、長い針はどこにきてる?」
「あのな・・9と10のあいだ」
「よしよし。あともう少しでパパが家に着くよ!がんばろうね!」
「うん・・・」
「泣くな!泣いたらダメよ!」
「泣くわ!泣くのが仕事や!」
ロッカーで着替えている牛村さんが突然言ってきた。おいおい・・
「ママ、パパ遅いよぉー」
「遅いよねー。帰ってきたら怒ってあげ!」
「うん・・長い針がもうちょっとで10にくるよ」
「ほんと?」(おいおい、旦那ダッシュで頼む!)
「あっ!帰ってきた!!」
「帰ってきた?じゃぁ、ママ切るよ!じゃぁーね!」
ホッとして、携帯をしまい急いで着替えにかかる。
「子供は泣くのが仕事!旦那帰ってこなかったのか?」
牛村さんが着替え終わって声をかけてくる
「はい・・」
「子供いくつなの。女の子?」
「5歳です・・男の子・・」
「旦那も仕事で遅くなったんでしょ。泣くな言ってもしょうがないでしょ」
「はぁ・・」
仕事で遅くなったんじゃないよぉー。旦那は飲んでいたんですよ・・
おっと、ぼやぼやしているヒマなんかない!作業着に着替えて
急いでローラー掛け→マスク&エプロン装着→エアシャワー室→
ローラー掛け→手洗い(石鹸・消毒・逆性石鹸)をして、やっと工場入り
夜10時55分に入る。
遅刻はまぬがれました・・。もう、こんなこと勘弁してくれ・・。
仕事の内容はいつもと一緒である。
あいかわらず、冷麺だし・・おむすび&いなりにそぼろ弁当、豪華ちらし。
そぼろ弁当の時、なぜか巨泉がごはんならしに!私は横でごはん押し
だったが、あまりにもごはんの四隅があきあきなので、クレームがくる
まえに、巨泉とかわる。私がならしたほうがずっとマシだ。
「ちょっと、そんなならし方したらふちにごはんがあがるから・・」
「よすみに伸ばさないと、そぼろが四隅に落ちるんです!」
とにかく四隅にさえごはんを伸ばしておけば、あとはアイロンで押す
だけで、格好はつくのである。アイロンで押すだけの作業なんだから
ちゃんとやってくれよ、巨泉さんーーー。って、本当に単純に押す
だけの作業をやっちゃってくれているので、ケースがガタガタに流れている!
「ちょっとぉー!ちゃんと真ん中に流してよ!!」
案の定、鼻声リーダーの罵声が飛ぶ。
「はい!すみません!!」
とりあえず私が返事しておき、巨泉にはケースを真ん中にして流してと
早口で伝える。しかし・・・巨泉は聞いてなかったようだ。
「あのなぁ!!手が届かないのよっ!ちゃんと流してよ!巨泉さん!」
鼻声リーダーがとうとうブチ切れる。私はあわてて、さえぎるように
「すみません!!ちゃんと流します!!」
と、謝り巨泉にもう一度説明する。
「だから、ケースを真ん中に流さないと鼻声リーダーは逆から卵そぼろ
を入れているので、手が届かないんです!お願いします!」
鼻声リーダーの位置はレーンとの間が広いので、それでなくても
腰が折れる位置なのである。それに、鼻声リーダーは小柄なので、もっと
大変なのだ。お願いだからさぁー、人の話は聞いておくれさ、巨泉さんよ。
豪華ちらしでは、あいかわらずバァバリーダーが
「おっさんみたいな声だしなさんな!かわいい声は!」
って言ってくるし・・・。かわいい声だせば
「照れが入っているなぁー。あかんあかん」
なんて言ってくるし(泣)。なんで、レーン流しながらリーダーと掛け合い
漫才しないとダメなんですかぁー!!
うしろでは、巨泉が追いまくられてめばりさんと班長に叱られっぱなし
だったそうだ(後でアマミさん談)。それでも、巨泉は人のせいにしていたそうで
めばりさんもアマミさんも疲れはてていたらしい。ご愁傷さまです。
しかし!なんと、巨泉はもうすぐ定年でやめるとか!!定年ブラボー!
土曜日・朝3時1分に終了
喫煙室で、アマミさんに相談する
「子供にね、どうしてママは工場で働き始めたの?って聞かれたんです・・」
「私は正直に言ったよ!子供には正直に言ったらいいの。子供のためよ」
「そうなんですか?」
「子供にも家庭の事情をちゃんとわからせなきゃ。ちゃんと言ったらわかるよ」
「わかってくれるかなぁ・・」
「二人っきりになった時に、ちゃんと話してみてごらん。きっと理解してくるよ」
「そうか・・わかってくれますよね!」
「うんうん。がんばれ!」
「はい!」
今は坊主が小さいので、早出も断っているのだがこの仕事をする限りは
将来早出もしなくてはダメな状況になってくるだろう。だからこそ
家族の協力は絶対に必要だ。旦那と坊主には気持ちよく理解してほしい。
わたしもがんばる!家族の為にも自分のためにも!
朝4時に家に帰り、布団にすべりこむ。坊主のやわらかい手をそっとにぎる。
あたたかく、柔らかい手。心の中で、今日はごめんねと謝り、にぎりながら
深い眠りに沈んでいったのでした。
そろそろ出ないと、遅刻だ!旦那の携帯に電話してみる。
「ちょっと、いまどこにいるのよ!」
「いま、○×駅だから。」
「わたし、もう出ないといけないんだけど!」
「もうちょっとで家につくから・・坊主にそう言っておいて」
まったく・・・あぁぁぁー、もう家を出ないといけない!だいたい
なんでよりによって、こんな日に坊主は寝てくれなかったのだ!
「坊主、ママもう工場に行かなきゃダメなの。もうすぐパパ帰ってくるから
少しの間、一人で留守番しててな!」
「何時にパパ帰ってくるの?」
「10時半には家に帰ってくると思うから」
「うん・・・ママ行ってらっしゃい」
後ろ髪ひかれる思いで、私は家を出た。
たのむから、旦那よ早く家に戻っておくれよぉー!
どうにも気になり、あと半分ぐらいで工場に着くあたりから携帯から
家に電話する。坊主が心細い声で電話に出る。
「パパはまだか?」
「うん。まだ・・ボクな、かたつむり見てたの」
「あんた、なんでママと一緒に寝なかったのよ」
「だって・・・遊びたかったんだもん」
「ママ、もうちょっとで工場に着くよ」
「ママー、ボク座って電話でしゃべりたいよ」
「それやったら、一旦切ってもう一度掛け直すから、子機で出て」
「コキ?」
「切って、もう一度電話するから子機でとってピカピカ光るボタン押すの」
「ピカピカ光るボタン?」
「そうそう。わかった?じゃー切るよ」
一旦切って、工場の敷地内に入ったところで掛け直すが、なんと話し中である!
なんど掛けても話し中・・坊主〜!何してるのよぉ〜!!
工場の玄関に入ったところで、旦那の携帯に電話する。
「いまどこなのよ!」
「えっと・・□▽駅・・」
「わたし、もう工場に着いてるのよ!」
「もう家に着くから・・」
「坊主まってるからね!たのむよ!!」
髪の毛をくくってクリップで留めて、ヘアバンドをしてキャップをかぶる。
服にローラーをかけながら、家に電話。
「ママぁ・・・ぐすん、ぐすん」
「坊主〜!!何してたのよぉ〜!!」
「ぐすん、ぐすん・・コキわからないよぉ!うわーん!」
坊主おお泣き・・・どうも、子機が何なのか、どうしていいのか
わからなかったらしい・・・。坊主も頭が混乱している様子だ。
「泣くな!あんたが泣いたらママが泣きそうになる!」
「ママぁー・・うわーーーん!!」
「泣くな泣くなぁー・・パパが家に帰ってくるまで、ずっと電話で話してあげるから」
階段を上りながら、必死で坊主を励ましにかかる。タイムカードを押し
そのままロッカー室へ・・・時計を見ると10時半をまわっている。
「パパ何時に帰ってくるの?」
「さっき電話したら、今□▽駅だって。今、時計の長い針はどこ指してる?」
「えっと・・8のところ・・」
フッと見ると、アマミさんがすでに着替えて鏡の前でチェックしていた。
「アマミさん」
私は、アマミさんのところに飛んでいく
「旦那がまだ帰宅してなくて・・私が11時を過ぎても中にいけなかったら
リーダーに、もうすぐ来ますと言ってもらえますか?」
携帯を指差しながら言うと、事情を察してくれた。
「うん、わかったわかった」
旦那〜・・・たのむから時間厳守で飲みに行ってくれよな・・
「坊主、パパは長い針が10のところにくるまでには家に帰るからな」
「ママぁー・・ぐすんぐすん・・ママはどうして工場で仕事始めたの?」
ガガーーーーーン!そう聞いてきたか!!私は思わず言葉につまってしまった。
「うん・・それは、また家に帰ってからちゃんと話すね!」
「うん・・」
「泣くなよ!絶対泣くな!わかった?」
「はい。」
ロッカーに来る人が不審な目で私を見てくるが、私はとにかく坊主
の不安な気持ちを沈めるために必死である。
「いま、長い針はどこにきてる?」
「あのな・・9と10のあいだ」
「よしよし。あともう少しでパパが家に着くよ!がんばろうね!」
「うん・・・」
「泣くな!泣いたらダメよ!」
「泣くわ!泣くのが仕事や!」
ロッカーで着替えている牛村さんが突然言ってきた。おいおい・・
「ママ、パパ遅いよぉー」
「遅いよねー。帰ってきたら怒ってあげ!」
「うん・・長い針がもうちょっとで10にくるよ」
「ほんと?」(おいおい、旦那ダッシュで頼む!)
「あっ!帰ってきた!!」
「帰ってきた?じゃぁ、ママ切るよ!じゃぁーね!」
ホッとして、携帯をしまい急いで着替えにかかる。
「子供は泣くのが仕事!旦那帰ってこなかったのか?」
牛村さんが着替え終わって声をかけてくる
「はい・・」
「子供いくつなの。女の子?」
「5歳です・・男の子・・」
「旦那も仕事で遅くなったんでしょ。泣くな言ってもしょうがないでしょ」
「はぁ・・」
仕事で遅くなったんじゃないよぉー。旦那は飲んでいたんですよ・・
おっと、ぼやぼやしているヒマなんかない!作業着に着替えて
急いでローラー掛け→マスク&エプロン装着→エアシャワー室→
ローラー掛け→手洗い(石鹸・消毒・逆性石鹸)をして、やっと工場入り
夜10時55分に入る。
遅刻はまぬがれました・・。もう、こんなこと勘弁してくれ・・。
仕事の内容はいつもと一緒である。
あいかわらず、冷麺だし・・おむすび&いなりにそぼろ弁当、豪華ちらし。
そぼろ弁当の時、なぜか巨泉がごはんならしに!私は横でごはん押し
だったが、あまりにもごはんの四隅があきあきなので、クレームがくる
まえに、巨泉とかわる。私がならしたほうがずっとマシだ。
「ちょっと、そんなならし方したらふちにごはんがあがるから・・」
「よすみに伸ばさないと、そぼろが四隅に落ちるんです!」
とにかく四隅にさえごはんを伸ばしておけば、あとはアイロンで押す
だけで、格好はつくのである。アイロンで押すだけの作業なんだから
ちゃんとやってくれよ、巨泉さんーーー。って、本当に単純に押す
だけの作業をやっちゃってくれているので、ケースがガタガタに流れている!
「ちょっとぉー!ちゃんと真ん中に流してよ!!」
案の定、鼻声リーダーの罵声が飛ぶ。
「はい!すみません!!」
とりあえず私が返事しておき、巨泉にはケースを真ん中にして流してと
早口で伝える。しかし・・・巨泉は聞いてなかったようだ。
「あのなぁ!!手が届かないのよっ!ちゃんと流してよ!巨泉さん!」
鼻声リーダーがとうとうブチ切れる。私はあわてて、さえぎるように
「すみません!!ちゃんと流します!!」
と、謝り巨泉にもう一度説明する。
「だから、ケースを真ん中に流さないと鼻声リーダーは逆から卵そぼろ
を入れているので、手が届かないんです!お願いします!」
鼻声リーダーの位置はレーンとの間が広いので、それでなくても
腰が折れる位置なのである。それに、鼻声リーダーは小柄なので、もっと
大変なのだ。お願いだからさぁー、人の話は聞いておくれさ、巨泉さんよ。
豪華ちらしでは、あいかわらずバァバリーダーが
「おっさんみたいな声だしなさんな!かわいい声は!」
って言ってくるし・・・。かわいい声だせば
「照れが入っているなぁー。あかんあかん」
なんて言ってくるし(泣)。なんで、レーン流しながらリーダーと掛け合い
漫才しないとダメなんですかぁー!!
うしろでは、巨泉が追いまくられてめばりさんと班長に叱られっぱなし
だったそうだ(後でアマミさん談)。それでも、巨泉は人のせいにしていたそうで
めばりさんもアマミさんも疲れはてていたらしい。ご愁傷さまです。
しかし!なんと、巨泉はもうすぐ定年でやめるとか!!定年ブラボー!
土曜日・朝3時1分に終了
喫煙室で、アマミさんに相談する
「子供にね、どうしてママは工場で働き始めたの?って聞かれたんです・・」
「私は正直に言ったよ!子供には正直に言ったらいいの。子供のためよ」
「そうなんですか?」
「子供にも家庭の事情をちゃんとわからせなきゃ。ちゃんと言ったらわかるよ」
「わかってくれるかなぁ・・」
「二人っきりになった時に、ちゃんと話してみてごらん。きっと理解してくるよ」
「そうか・・わかってくれますよね!」
「うんうん。がんばれ!」
「はい!」
今は坊主が小さいので、早出も断っているのだがこの仕事をする限りは
将来早出もしなくてはダメな状況になってくるだろう。だからこそ
家族の協力は絶対に必要だ。旦那と坊主には気持ちよく理解してほしい。
わたしもがんばる!家族の為にも自分のためにも!
朝4時に家に帰り、布団にすべりこむ。坊主のやわらかい手をそっとにぎる。
あたたかく、柔らかい手。心の中で、今日はごめんねと謝り、にぎりながら
深い眠りに沈んでいったのでした。
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